
こうした中、社会課題の解決をテーマとしたリーダー成長プログラム“SATOBITO”を導入し「新規事業の種づくり」にまで成果を広げた株式会社エイチ・アイ・エスの日高氏に話を伺いました。
期待
②部署を問わず、主体的に課題を設定し提案する思考力を鍛えること
決め手
②他とは異なり、実際の現場に赴き社会課題を肌で感じながら提案するプロセスがあること
効果
②ツアー造成などの地域ビジネスへのつながり
・お話を伺った方 :日高 未紗子 氏
・部署/役職 :株式会社エイチ・アイ・エス 法人営業本部 第二事業部 地方創生グループ 事業推進チーム チームリーダー
地方創生事業の推進に必要だった、現場での課題設定力
――SATOBITOを導入した背景を教えてください。
日高:当社には「20%プロジェクト」という公募制度があります。現在の仕事を継続しながら勤務時間の20%を活用し、本業とは異なる”やってみたい”仕事にもチャレンジできる制度です。各部署がテーマを設定し、興味を持った他部署の社員が手を挙げてプロジェクト単位で協働していきます。
地方創生は当社の中で比較的新しい事業であり、興味を持つ人を増やすためには”体験”することが重要だと考えました。そんな中、社会課題の最前線という”生きた現場”を舞台にした次世代リーダー育成プログラムであるSATOBITOの存在を知り、社会性と事業性を両立させる答えを自ら描き出すという考え方に共感したことが導入のきっかけです。
同時に社内では地方創生の事業を推進していく中で、そもそも地方創生のテーマでつながりのある自治体が少なかったこともあり、“地域への入り方”や“地域課題の捉え方”を模索していました。地域に根差した事業づくりの難しさは、単なる提案力よりも”課題の定義”にあります。表面的なニーズではなく、地域の実態や関係者の意図を踏まえた本質的な課題設定が求められますが、SATOBITOであれば実際の地域と接点を持ちながら課題を発見し、実践を通じて学べると判断しました。
また、次世代リーダー向け研修として地方創生をテーマにしたものは一般的ですが、実際の現場に赴き社会課題を肌で感じながら提案するプロセスは他とは異なり、地域ビジネスだけでなくどこの現場でも活かせると感じたことも決め手の1つでした。

事務局の伴走による社内の負担感のないスムーズな運用
――20%プロジェクトにおいて、初めて外部研修を導入したと伺いました。実際に導入していかがでしたか。
日高:通常の20%プロジェクトでは、自部署で育成設計を行い他部署の社員を受け入れます。今回は外部研修ということで、役割分担や関係者との連携に懸念がありました。実際には、進行や地域関係者との調整はSATOBITO事務局が担ってくれたため、運用面での社内負担は想定よりも少なく済みました。視察や現地活動も出張扱いとすることでスムーズに進められ、社内運用の負担軽減にもつながり良かったと感じています。
一方、今後の改善点としては、参加者の業務20%分に収められるよう、もう少しサポート体制が必要だったと考えています。個々の考察・作業時間を完全に各自に委ねていたため、負担が大きくなっていたかもしれません。
SATOBITOでの体験をきっかけとした異動希望
――SATOBITOを終えて、導入効果はいかがでしたか。
日高:今回は4名が参加し、そのうち1名が早速、地方創生を担当する部署への社内公募に手を挙げてくれました。想定以上の結果となり、導入して良かったと感じています。
異動に自ら手を挙げるのはハードルが高いものですが、SATOBITOで地域課題のリアルを体験し、解決の提案をすることで“やりたい理由”が明確になり、異動希望者と受け入れ部署の双方が納得した形で異動は実現しました。SATOBITOのプログラムの中で得た地域の首長や事業者とのつながりを持った状態での異動となったため、立ち上がりも早く、すでに成果を上げています。
また、情報システム部から参加した社員もいたのですが、普段の業務とは全く異なる大きな挑戦だったと思います。参加する中で、現場で仕事をする感覚をつかむために海外支店や他部署へのヒアリングを自ら行うなど、主体性を発揮していて、自部署に戻ってからも活きる力になっていると思います。

机上の空論ではなく実現可能性を重視したプログラム設計
――SATOBITOの内容についてはいかがでしたか。
日高:当社の研修では、課題設定から提案まで一貫して学ぶ機会はこれまでありませんでした。役員からは「提案するなら本気でやる前提で考えてほしい」という言葉もあり、参加者全員が”実行前提のプロジェクト”として臨んだことで、その結果は具体的な動きとしてあらわれています。
東京都青梅市ではSATOBITO内での提案をもとに補助金を活用し、地域事業者と共同でツアー造成を実現しました。山梨県小菅村では提案内容を実現したいという前向きなフィードバックを受け、具体的な検討が続いています。提案の完全な実現が難しかった東京都奥多摩町においても、当社との協定締結につながり、方向性を形にする動きが始まっています。
“人材投資”を“事業成果”に変えて、継続的な取り組みへ
――今後の展望を教えてください。
日高:継続的に実施していきたいと考えています。地方創生を志望する人に地域の課題を感じてもらうための入口としてはもちろん、部署を問わず提案力を養う実践的な機会としても価値があります。社員によっては、法人向けに提案する機会が少ない場合もあります。情報収集・課題抽出・ソリューションの構築といった一連の課題解決プロセスを、役割分担なく自身が主体的に進める経験はなかなか得られません。やり方によってはさまざまなレイヤーの社員に活用できるはずです。
SATOBITOは育成投資であると同時に、事業の種を生み出す場でもあります。人の成長と事業創出を同時に実現していきたいと考えています。
*サービス内容やお話を伺った方のご担当部署・役職などの情報はインタビュー当時のものとなり、現在とは異なる場合がございます。

| 社名 | 株式会社エイチ・アイ・エス |
|---|---|
| 業種 | 旅行業等 |
| 従業員数 | 連結10,000名以上 |
| 実施プログラム | 実装デザイナー育成 |
| 課題・目的 | 地域事業、次世代リーダー育成 |

